「脳トレ」で研究棟建設…川島教授、監修料から3億円

川島教授は「税金を使わず、研究を発展させられる産学連携の成功例」と話している。
マーフィーとネーゲルが「税と正義」(isbn:9784815805482)において批判の対象としているのは,「課税前所得」という考え方である.
今,わたしたちがある所得を得ているのはさまざまな制度,とくに私有財産制を前提としている.私有財産制を機能させるためには法の制定や執行が必要であるが,このためには租税(制度)が必要である.したがって,租税制度を前提とした所得に関して「帳簿上の数字を除けば,私たちが最初から「持っていて」,政府が私たちから公平に取り上げなければならない課税前所得という実体はない」(40ページ).
この立場からすれば,あれこれの負担の公平性を問うことも,それが「課税前所得」を議論(計算)の出発点にしている限りにおいて,焦点を誤っていることになる.
引用の記事に戻れば,国立大学(独立行政法人)で研究している人間が,その成果を利用して得たカネで,大学内に研究施設を作るのであるから,「税金を使わず,研究を発展させ」るわけではない.