War Rationale: Version 10.0

戦争の根拠 バージョン10.0 (イラク侵略正当化の変遷)


イラクへの侵略以来,ブッシュ政権はその正当化を何度もずらし,情報,国連,再建,政治的移行,コストについてのストーリーをつねに変えてきた.これは,ソフトウエアに似ている.最初はうまく動いているのだが,そのうちユーザーは「致命的エラー」というメッセージのサイクルにつかまる.


フセインアメリカの人々にとって「差し迫った脅威」である.
Ver. 1.0----フセインは差し迫った脅威である.
Ver. 1.01---フセインは増大しつつある脅威である.
Ver. 1.02---フセインは現実の,危険な脅威である.
Ver. 1.1----決定的証拠はきのこ雲である.
Ver. 1.2----われわれには待っている余裕はない.
Ver. 1.3----われわれは差し迫った,と言ったことはない.
Ver. 1.3.1--たしかに,1,2回そう言ったことがあったかもしれない.
Ver. 1.4----われわれはもう少し正確であるべきだった.


フセイン大量破壊兵器を使う用意ができている.
Ver. 2.1----フセイン大量破壊兵器を持っている.
Ver. 2.2----フセイン核兵器を持っている.
Ver. 2.3----フセインは説明してこなかった生物手段を持っている.
Ver. 2.3.1--トレーラーは化学兵器製造のための移動実験室である.
Ver. 2.3.2--無人飛行機はフセイン生物兵器を散布する準備ができている.
Ver. 2.4----フセインはこれらすべての兵器をもっと作ろうとしている.
Ver. 2.5----われわれは兵器がどこにあるのか,すべて知っている.
Ver. 2.5.1--フセイン大量破壊兵器を使ったことがある.
Ver. 2.5.2--イラクは大きな国である.最終的には兵器を見つけるだろう.
Ver. 2.5.3--フセイン大量破壊兵器プログラムを持っていた.
Ver. 2.5.4--フセインは「大量破壊兵器プログラムに関連した活動」を行っていた.
Ver. 2.5.5--David Kay? David Kayとは誰だ?
Ver. 2.6----アメリカ国民をミスリードしたことは重要ではない.フセインがいなくなったこと,それがもっとも重要なことだ.


情報は明確だ.
Ver. 3.0----われわれの声明は信頼できる情報にもとづいている.
Ver. 3.1----フセインニジェールからウラン鉱石を買おうとしていた.
Ver. 3.1.2--それは,イギリスがわれわれに伝えたものだ.
Ver. 3.1.3--Joe Wildon の妻について,われわれが何か言ったか?
Ver. 3.1.4--いい弁護士を知っているか?
Ver. 3.2----情報は完全にはっきりしている.
Ver. 3.2.1--情報が100パーセント正確であることはありえない.
Ver. 3.2.2--われわれは情報を操作していない.
Ver. 3.3----情報コミュニティの内部においても,一致はなかった.
Ver. 3.3.1--われわれが見た情報は前の政権が見たのと同じだった.


フセインアルカイダと深いつながりをもっている.
Ver. 4.0----フセインは長年にわたってアルカイダとつながりを持っている.
Ver. 4.0.1--フセインアルカイダの区別はつかない.
Ver. 4.0.2--アルカイダテロリストネットワークがイラクにある.
Ver. 4.0.3--フセインアルカイダに化学生物兵器の訓練を提供してきた.
Ver. 4.0.4--フセインアルカイダに兵器を渡すだろう.
Ver. 4.0.5--パウエル国務長官:「わたしはアルカイダイラクのつながりに関する決定的証拠,具体的証拠を見たことがない.」
Ver. 4.0.6--チェイニー副大統領「わたしは,いまでもつながりがあると信じている.」
Ver. 4.0.7--CIAテネット長官「わたしは,チェイニーにそんなことは言うな,と言った.」


結論
Ver. 10.0---われわれを信じろ.われわれはなにをやっているかわかっている.