イラク邦人殺害:小泉首相の声明と発言

日本国民のひとりがイラクで殺され,日本のニュースはこの事件でいっぱいだ.ブログの「注目キーワード」でも「イラク」や「香田」が上位に来ている.
他方で,日本政府が支持し,小泉首相が支持の根拠としてきた「大量破壊兵器の存在」がウソだったと米国自身が確定しても今なおその支持を撤回していないイラク侵略戦争では,10万人以上が死んだという推定があるイラクと日本の人口比でいえば,日本で50万人以上が死んだに等しい.殺され方は違っていても,この戦争で殺されたという点から言えば,少なくとも10万人の「香田さん」がイラクにはいる.
ひとりが拉致され殺された(これまでに計5人)ことにこれだけ注目している時に,日本国民が選んだ政府が支持した戦争で10万人もが死んでいることは,たいした注目も集めず,いくつかある死亡統計のひとつとして隅に追いやられようとしている.
この事件を受けて小泉首相は「日本はイラクの友人として・・・できるだけ支援をしなければならない」と発言している.
10万人殺戮を支持し,そしてイラクの人たちを今でも殺している米兵を輸送している自衛隊を「復興支援」の名のもとに派兵しても,それでもまだ友だちでいてくれるような底なしの寛容さを,わたしたちはイラク市民に期待できるだろうか.