Tokyo Stories: Black van man gets ready for the greatest grudge match on earth


トーキョー・ストーリー
街宣車の男たちは世界最大の遺恨試合に向けて準備


David McNeill
2005年1月16日


わたしの妻とわたしは,今でこそ笑っているが,その時は歯医者に行くのと同じくらい気分が悪かった.数年前,ウルトラナショナリストの集団がわたしたちに黙れと警告してきた.当時,わたしたちは地方のラジオ番組を持っており,ちょうど中国の南京から戻ってきた時だった.そこは,日本帝国軍による1937年終わりの悪名高き虐殺の場所である.

事件を記念する博物館を訪問し,数百人の生き残りの証言を読み,無数の死体の写真を見た後,わたしたちは,何が起こったのか否定することは不可能であり,否定する者はここを訪問すべきだと述べた.わたしたちが念頭においていたのは,東京都知事石原慎太郎のような政治家だった.彼は大虐殺を「中国のウソ」を呼んでいる.
坊主頭の愛国者たち--彼らは通常,軍国主義的な,黒い,音を出すトラックで交通の邪魔をし,天皇を賛美する言葉を車に塗装し,歩行者に向けて無差別に右翼のドグマを叫ぶ--は中傷を不快に思い,放送局を訪問したのだった.驚いたことに,動揺した放送局のディレクターは放送用の謝罪を書き,その中ではわたしたちが「反社会的」にふるまったと書かれていた.「反社会的」というのは,クリントンのモニカ・ルインスキーとの大統領執務室でのわるさを表す時に使われたのと同じ言葉である.

ウルトラ右翼はここでは,彼らに同意しない者に対する脅迫と暴力で評判になっていると後にわたしは知らされた.また,ほとんどの人が彼らを卑劣な悪党だと考えている一方で,卑劣漢は施設のそばで意見を表明することから慰めを得ている.日本の政治家は数千人の愚かな坊主頭にうなずかされるという失態を再三記録した.

今週,わたしは再び思い出させられた.イギリスのBBCに該当する日本のNHKが2001年の「従軍慰安婦」に関する番組をめぐる検閲スキャンダルで巻き添えにあったからだ.「従軍慰安婦」とは,第二次大戦中に帝国軍によって強制的に性奴隷にされた推定20万人のアジアの女性のことである.NHKはウルトラ右翼による標準的な一連の取り扱いを受けた.それは,暴力による脅しを暗示する訪問や数十台の街宣車による鼓膜を破るようなセレナーデだ.すべての歴史認識を飛び越えて,番組は問題なく変更された.

今週,勇気あるNHKプロデューサーおかげで,右翼にはヘビー級の支援者がいることを日本は知った.官房副長官であった安倍晋三のことだ.彼は放送される予定の前日に「番組は「偏向している」と思う」と威圧的に言った.彼は小泉首相の後任候補のトップである.

調査は若い日本人が戦時中の歴史,アジアの広い範囲にわたって怒りを呼んでいる事柄についてほとんど知らないことを再三示している.昨年,日本の数百万人のテレビ視聴者は,日本チームがアジアカップで中国に勝った後に,北京で暴動が起こったことに唖然とした.「なぜ,自分たちを嫌うのか?」これがその後の議論の大半における中身であった.今や誰が非難されるべきか,日本人は知っている.

過去の亡霊は,来月始めの北朝鮮と日本のワールドカップ予選が行われる埼玉スタジアムのスタンドに出没するだろう.そして試合当日,「遺恨試合」という言葉で実況が始まることはまずないだろう.

日本語教師やスパイとして訓練するという奇怪な計画の中で,部下が日本人市民を誘拐したことを金正日が認めて以来,日本のメディアにおいてこの28ヶ月の間,北朝鮮はこきおろしの対象となってきた.それは,さらなる街宣車が来ることを意味している.「間違いなく,大量の右翼がスタジアムに押しかけてくるだろう」と先週,警察幹部は述べた.2回目の予選は6月にピョンヤンで予定されている.そこは戦時中に数千人の北朝鮮人を誘拐したこと,そして米国との同盟が理由で日本が嫌われている場所である.

20年前にそこで試合をした時,同じ人民服を着た8万人の観衆は日本チームがボールにタッチするたびに静まり返った.現在,北朝鮮は核爆弾を開発しているとうわさされ,東京は制裁でピョンヤンを脅し,石原都知事は「日本は宣戦布告すべきだ」と発言している.こうしたことはどれも,ピョンヤンへの観戦ツアーを企画する楽観的な日本の旅行代理店を止めはしない.これまでのところ10件の問い合わせがあったという.