ニート対策冊子、授業に 高校から注文相次ぐ

まだ10代半ばの人間に「生涯賃金」だとか「年金」だとか持ち出して,いったいどれくらいの説得力があるのだろう.説得するにしても,使う言葉が根本的に間違っていると思う.
おまけにテレビをつければ,中高年のリストラ,「成果主義賃金」,「年金が危ない」というニュースが流れてくる.そうした状況のなかで,「生涯賃金」や「年金」という言葉は年齢に関係なくむなしさしか感じられないのではないだろうか.
日本中の学校がいくらがんばったところで,フリーターを減らすことはできない.ある学校が進路指導に力を入れてフリーターを減らすことができたとしても,それは別の学校を卒業したフリーターを増加させるだけだ.
読まずに言うのもなんだが,この冊子よりは玄田有史「14歳からの仕事道」(isbn:4652078064)を読ませた方がはるかにいいと思う.
なお,「フリーター」という言葉には定まった定義がない.だから,厚生労働省の定義によるフリーター数(2000年で193万人)と内閣府の定義によるフリーター数(2000年で384万人)はかなり違っており,したがって人数を問題にする場合にはどのような定義にもとづいて推計しているのか,注意する必要がある.