経済教育:内閣府が独自教材使い中学校でモデル授業

・・・子供のころから「経済は難しい大人の世界」と敬遠せず・・・

これじゃあ,まるで「大人は経済がわかってる」みたいだ.
最近の朝日新聞の社説は面白かった.まるで就職活動を始めてあわてて日経を読み始めた学生の答案みたいだ.ひょっとしたら,本当にこの4月に朝日新聞に入社したばかりの社員が書いたのかもしれない.


来年をピークに人口は減少に転ずる。国全体の経済力を示す国内総生産(GDP)は、国民や企業が生み出した付加価値を積み上げたものだ。個々の生産力が高まらなければ、GDPも人口に合わせて縮んでしまう。
何が面白いかと言えば,この「人口」の部分に何をもってこようが,「主張」として成立してしまう点だ(だから,そもそも「主張」として成立してない,とも言える).たとえば,「来年をピークに日本人の体重の総和は減少に転ずる。国全体の経済力を示す国内総生産(GDP)は、国民や企業が生み出した付加価値を積み上げたものだ。個々の生産力が高まらなければ、GDPも体重の総和に合わせて縮んでしまう。」と書いてもまったくおかしくない(というか,メチャクチャだ).
GDPは日本全体で生産された付加価値の総和であるから,個々の企業が生産する付加価値が増加しなければGDPが増加しないことは当然で,より一般的に言えば,「ひとつひとつを足し合わせた総和は,ひとつひとつが増えなければ増えない」ということを言っているにすぎない.このこと自体は人口の増減とはまったく何の関係もない.人口が増加していれば,個々の企業が生産した付加価値がすべて減少したとしてもGDPが増加する,などということはありえない.
ついでに言えば,GDP統計における「国民」は日常会話,あるいは政治の話をしている時の国民とはまったく別ものであり,「国民や企業」などと並べて使ってはいけない.