[学校給食費]「『払えるのに払わない』無責任さ]
未納状況について,都道府県別のデータが公表されているので,計算してみた.失業率のデータは「労働力調査」(2006年7-9月期平均)から.
まず,グラフにしてみると,未納率,失業率ともに沖縄が飛びぬけて高いことがわかる.
モデルは,未納率=定数項+b x 失業率という単純な線形モデル.推計方法は最小二乗法.推計結果は以下の通り.
変数 | 係数 | 標準誤差 | p値 |
---|---|---|---|
定数項 | -1.4376 | 0.8808 | 0.1026 |
失業率 | 0.6168 | 0.2443 | 0.0116 |
決定係数 | 0.4772 |
失業率は5%有意水準で有意となっている(なお,標準誤差は不均一分散を考慮にいれて計算).
上の結果は未納率,失業率がともに飛びぬけて高い沖縄に引っ張られている可能性もあるので,沖縄ダミー(沖縄だけ1,それ以外では0をとる変数)を入れて推計.
変数 | 係数 | 標準誤差 | p値 |
---|---|---|---|
定数項 | -0.1691 | 0.3442 | 0.6232 |
失業率 | 0.2664 | 0.0985 | 0.0069 |
沖縄ダミー | 4.3383 | 0.4521 | 0.0000 |
決定係数 | 0.7764 |
失業率と沖縄ダミーがともに1%有意水準で有意.沖縄ダミーが有意ということは,沖縄がこの回帰直線から外れていること,すなわち,沖縄の未納率の高さは失業率の高さだけではなく,それ以外の特殊要因が関係していることを示している.
学校給食部門の都道府県経済に占める割合が10%もあるのでない限り,給食費未納率が高まると失業率が高まるとは考えにくいので,因果関係の方向は失業率から未納率と考えていいだろう.
そう考えれば,この推計から失業率の1%の上昇は未納率の0.27%の上昇をもたらすと言える.
なお,県民1人あたりGDP,および県民1人あたり雇用者報酬は有意ではなかった.これらの変数は人数で割ることにより,平均化されてしまうために有意とならなかった可能性がある.したがって例えば,下位10%の所得等の変数であれば,有意となるかもしれない.
また,このニュースになると必ず登場する「「経済的に苦しいから」と、未納の言い訳をしながら高級車を乗り回し、贅沢(ぜいたく)品を購入している保護者」については,このような保護者の数を集計したデータは見当たらず,さらに,その代理変数となるようなものも思いつかなかったので推計はできなかった.