喫煙とガン

「車に乗らない嫌煙者」.自分で運転しようがしまいが(わたし自身は免許すら持っていません),今の日本では車なしで生活することはできません.スーパーやコンビニにならんでいるもの,宅急便,これらはすべて車を使って運ばれています.つまり,日本で生活している人は好むと好まざるとにかかわらず,誰でも車の利用者であり,例外なく排気ガスを撒き散らすこと,交通事故の発生に加担しているのです.
今の日本では車なしでの生活が不可能ですから,わたしは「明日から車を全面禁止にせよ」と主張するわけではありません.しかし,タバコの場合はある日突然,「ここでは全面禁止」となることがあります.大学のキャンパス内全面禁煙というニュースは聞いたことがありますが,車の乗り入れ全面禁止などという話は聞いたことがありません(言うまでもなく,禁止にすることは可能です).
交通事故や排気ガス等の問題があるので,もうこれ以上車は増やさないほうがいいと思いますが,「車の利用を減らそう」というキャンペーンが行われているでしょうか?学校で反喫煙教育と同程度に反車教育が行われているでしょうか?繰り返しになりますが,わたしはバランスが取れていないことを問題にしているのです.
「肺癌で死んでいる人間は1日約730人」.どういう計算をしているのかわかりません.
「がんの統計」によれば2001年に肺がんで死んだ人(この中には喫煙者も非喫煙者もいる)は5万5002人,すなわち1日当たり151人です.
喫煙者が肺がんになったからといって,喫煙が原因で肺がんになったとは言えません.ここが交通事故による死亡や負傷とはまったく違う点です.また,過度な「タバコと肺がん」キャンペーンは医師に予断をもたせることになり,アスベスト問題を埋もれさせることにもなってしまったのです(喫煙者はブルーカラーに多い).
ただし,明らかに非喫煙者と比較して肺がんになる確率が高い以上,「メカニズムがわからないから,何ともいえない」と主張するつもりはありません.何度も言いますが,わたしは「タバコはよくないですよ」と啓蒙することに反対しているのではなく,バランスが取れていないことを問題にしているのです.